アフタードールズ

あとがき

 この度は、拙作「アフタードールズ」をお読みいただき、ありがとうございます。
 本作は、2015年の末に書き上げ、2016年のお正月に公開したものを、サイトの移転を機に一回下げ、2017年の秋に再公開するにあたって若干再編集したものになっています。
 再編集と言っても、そんなに中身は変わっていません。
 せいぜい誤字を直して、セリフの細かい部分を修正したくらいです。

 普段はヤンデレな恋愛小説(ファンタジーが入ってもスパイス程度のもの)を書いているのですが、昨今のネット小説界隈では「異世界ファンタジー」というのが流行っておりまして、その波に乗りたいなと思って自分なりに異世界ファンタジーにトライした結果がこちらの作品です。
 私の小説が歪むのはいつものことなんです。気にしないでください。
 (正統派の異世界ファンタジーもいつかは書きたいなと思っています)
 それで調子に乗って、ちょっとした新人賞に出してみたのですが、まぁ、結果はお察しくださいということで……。

 さて、この小説を書き終わった当時は応募用だったので「あとがき」を書いていなかったので、この部分だけは新規で書き下ろしです。
(いや、書き下ろしってほど大したことはないんですけど)

 この小説に登場する「人形」たちは、大事にしたものには神様が宿る、いわゆる「付喪神」……の悪質版です。
 自分のことを覚えていないと焼き殺したりするし、いざ相思相愛だったとしても、ご主人様に仇なす存在は問答無用で殺っちゃうぜ☆なので、悪霊も真っ青のパワーと行動力ですよね。
 ご主人様大好きなのはいいけれど、度が強すぎる愛っていうのはいつだって重いもの。
 人形達は忘却を恐れますが、人は忘れる生き物だし、だからこそ前を向いて生きていける。
 それに、もしも忘れてしまったとしても、持ち主の人格形成に少なからず人形達は影響を及ぼしているし、主人の中から人形たちと過ごした時間が消えるわけでもない。

 ……過去に囚われたもの達の行き着く先が「人形達の世界」なので、もしかすると、あの世界はクリスの言う通りある意味本物の地獄なのかもしれませんね。

 人形達の世界には束の間の幸せが訪れましたが、その平穏がいつまで続くかは誰にも分からない。

 個人的には、いかに楽園とか天国とか綺麗事を並べ立てようが、嫌な奴の一人や二人は探せば絶対いるだろうし、どこへ行こうが大なり小なり「悪」とみなされるものは存在していると思うのです。
 どんなに厳しい環境だろうが、「帰りたいと思える場所」があれば、人間多少辛くても頑張れる……っていう、ようはそんな感じのお話です。

 そんなわけで、ちょっとばかり物騒な世界で、胡蝶は無事、帰りたいと思える場所を見つけたのでした。
 めでたし、めでたし。


 2017/11/02 鵺本しをり
 


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